1.ななこおねいさん
べったべたに片思いして、女々しくて、独りよがりで、そんな恋愛架空的対象者が、ななこおねいさん。
仮タイトルだったのをそのまま使用しました。
心臓の音を聞いていたいだとか、名前を指でなぞりたいだとか、
なにかやらかしてしまうんじゃないかというギリギリなやばい自分を描きたかったし、
いい大人になって、ある程度確立した自分を崩壊させられちゃうようなその人への思いを、丁寧に気持ち悪く描きました。
2.お行儀の悪いことがしたい
6月くらいのワンルームに住むお金ない半同棲の曲。
その6畳で極彩色の如く光ったり濁ったりするドラマがあって、
湿って窓が露で濡れた景色を、じめじめして最悪、と捉えたり、潤ってて綺麗、と捉えたり、
2人の間に瞬間的に訪れる、感極まる新鮮な波長とか、これまでの地獄のような険悪とか、
それらを一気にくだらなくして、全部チャラにしようともがく為の祈りが「お行儀の悪いことがしたい」という呪文。
3.故愛(ゆえあい)
去年、知り合いとの仲で別れがあり、それを胸に書いた曲。人間関係での分かり合えない苛立ちと、でもどうしても分かり合いたいと争う曲。
僕はいつも分かり合うためのコツを探して見つけてはすぐよく失くしております。
言葉を大事に伝えれば、と思うが、大事にし過ぎるあまりに言葉に薄い嘘が張られてるような気分を受けた事があるし、
自分も気付いてないでそんな気分を与えてしまってる事も多くあるはず。
この曲のボーカル録音をする前に、事務所の社長が「どうすればこの曲をしっかり届けられるか」と
歌詞が書かれた紙をスタジオの床に置いて、地べたに座り、仮録音した音源を聴きながら歌詞の一文字一文字を、
こう歌ったらどうかああ歌ったらどうかと、曲と自分と同じ目線に且つ、なによりもその先にいる、聴く人達の気持ちを
考えたその姿勢にもの凄く胸打たれました。それが無意識に見えたから尚更。
言葉を大事にするための手段は、その言葉を研磨ばかりするんじゃなく「態度」というのも重要だと教わった。
今んとこ、人と分かり合うためのコツ。これはなるべく失くさないようにしようぜ。うっかりドブにわざと落とすなよ。
お前の悪い癖だ。頭悪いんだからこうやってセルフライナーに書いとけ。
愛故に、してしまうこと、故に愛。っていう、無意識こそ本質というか、そういうこと描きたかった曲です。
今年の春に、春の気分で、春を書いた曲。
道を歩いてる時、説明できないくらい舞い上がるような謎のテンションの時があって、
いつもの、なんの変哲もない坂道が、なんだか世界一の景色に見えるくらい愛しく感じて、
なんかもう、記憶の中にいる友達が言い放ったくそしょっぱいギャグが妙に笑えて、
散歩してるおばさんにキモがられないよう、マフラーの中に抑えられない上がりきった口角を隠しつつ、
必死にそのギャグを脳からどかしながら機嫌よく歩いてる様子がよく描かれております。
歌詞がそう、とかだけじゃなくバンドサウンドも上手くいった。
付かず離れずの友達なのか、異性としての人なのか、その人の鼻歌はいつも綺麗なんですけどね、
なんかその日はぐにゃぐにゃで、泣いてるのか、花粉症なのか、気になったんだけどわざと見ないで、ポカリ飲んだのふと思い出したり。
メロディーは、自分の大好きなのアニメのエンディングテーマがこんなんだったらいいなって気持ちで作りました。
5.駄々
自分の中の少年を「駄々」と擬人化にして、そいつとのやりとりを書いた曲。
この曲が不特定多数の人が理解できるものじゃなく、大人になった誰しもが「駄々」を飼っていて、
飼いならしたつもりでいて、でもいざ、重い名曲を聴いたり、
夕方の駅、電車待ちでふと、遠くにいるか弱そうな雲を見た時、
それらに反応して暴れ出す「駄々」を大人気なくクールになだめるなんて、
結局大人になってもできないし、ただ大人っぽくなっただけだなって虚しくなった。
まったく面識のない、愛想のいい新卒の不動産屋の女性店員さんとも、ホームセンターでパートタイムで働くお母さんも、
学校でぼーっとしてる時になぜか急に暴れ出す正体不明な気持ちを持つ笑顔のない男子も、
誰とも共通認識でありますようにと、願ってます。
なんでもかんでも効率よく上手にこなせる大人になりたかった。なれないなもう。でももういいや、
いちいちモヤついて、「駄々」と隣同士でいたい。綺麗な泥団子作るのに一生懸命になっていたい。
2019.10.2 Release『ユエアイ』
¥1,650(tax in) XNRJ-10010
1. ななこおねいさん
2. お行儀の悪いことがしたい
3. 故愛(ゆえあい)
4. 春風5センチメンタル
5. 駄々